■4次元正多胞体による空間充填と元素定理(その19)

 (その13)について,一松信先生より再度コメントを頂戴したので紹介したい.

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【1】正軸体の場合

 貴兄もお気づきと存じますが「証明」には若干無理があるように感じます(離れている点対の吟味が不足?).

 8次元空間の超立方体の頂点2^8=256個から16個を選んで正軸体の頂点にすることは可能で,その具体例を示します.便宜上+1,−1はわかりにくいので1,0で表し,中心を(1/2,1/2,1/2,1/2,1/2,1/2,1/2,1/2)としました.

 下記の8組の点の対がこの中心について対称であり,中心からそれに向かう直線が互いに直交することが確かめられます.そして相対する点対以外の2点の距離はつねに√4=2です.

  (11111111)−(00000000)

  (11101000)−(00010111)

  (10110100)−(01001011)

  (10011010)−(01100101)

  (10001101)−(01110010)

  (11000110)−(00111001)

  (10100011)−(01011100)

  (11010001)−(00101110)

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【2】正単体の場合

 正単体については正方格子の頂点をうまくとってn次元の正単体がうまくできるか?というもう少し一般化された問題は,次元数nに依存し,n=2では不可能,n=3では可能です.これは体積に含まれる定数√(n+1)が鍵を握るようなので,どうやら√(n+1)が整数(すなわちn=k^2−1)のときだけのようです.

 n=8について,次の9個の格子点は2√2=√8の等距離にあって正単体をなします.

  (11111111)

  (20000000)

  (02000000)

  (00200000)

  (00020000)

  (00002000)

  (00000200)

  (00000020)

  (00000002)

 多分n=15(=4^2−1)のときも同様の点をとることができると思います.

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【3】まとめ

 しかし,以上はあくまで「例外的」な次元nの場合であり,「たいてい」の次元では不可能というのは正しい結論と存じます.蛇足的な注意ですが,気がつきましたのでご一報まで.

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