■4次元正多胞体による空間充填と元素定理(その12)

 (その10)では早とちり・早合点があり,ここで再考したい.

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 正単体の重心をOとする.その頂点をP1,P2,・・・,Pn+1とする.PiOPj=θとするとき,cosθ=−1/nである.

[Q]3次元では立方体から直角三角錐RTを4個取り除くと正四面体になるが,5次元立方体からどのように取り除けばその次元の正単体になるのだろうか?

[A]正単体の辺の長さは2√3であるから,

  L3=2√3,N3=n(n−1)(n−2)/6

より,5次元立方体の頂点を2個おきに結べば,正単体ができるかもしれない.

 (1,1,1,1,1)を中心とすると,(1,1,−1,−1,−1)などの合計11頂点が得られる.n=5として合計

  (n,0)+(n,3)=11

頂点が得られたわけである.

 しかしながら,10頂点の頂点間距離はcosθ=−1/nにならない.たとえば(1,1,−1,−1,−1)の第4・第5座標を固定すると,cosθ=−1/nになるためには(−1,−1,1,−1,−1)にならなければならないが,これはリストには含まれない.

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[Q]3次元では立方体から直角三角錐RTを4個取り除くと正四面体になるが,7次元立方体からどのように取り除けばその次元の正単体になるのだろうか?

[A]正単体の辺の長さは4であるから,

  L4=4

より,7次元立方体の頂点を3個おきに結べば,正単体ができるかもしれない.

 (1,1,1,1,1,1,1)を中心とすると,(1,1,1,−1,−1,−1,−1)などの合計36頂点が得られる.n=7として合計

  (n,0)+(n,4)=36

頂点が得られたわけである.

 しかしながら,35頂点の頂点間距離はcosθ=−1/nにならない.たとえば(1,1,1,−1,−1,−1,−1)の第5・第6・第7座標を固定すると,cosθ=−1/nになるためには(−1,−1,−1,1,−1,−1,−1)にならなければならないが,これはリストには含まれない.

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 正軸体の重心をOとする.その頂点をP1,P2,・・・,P2nとする.PiOPj=θとするとき,cosθ=0である.

[Q]4次元では正8胞体からRPを8個取り除くと16胞体になるが,6次元立方体からどのように取り除けばその次元の正軸体になるのだろうか?

[A]正軸体の辺の長さは2√3であるから,

  L3=2√3,N3=n(n−1)(n−2)/6

より,6次元立方体の頂点を2個おきに結べば,正単体ができるかもしれない.

 (1,1,1,1,1,1)を中心とすると,(1,1,1,−1,−1,−1)などの合計21頂点が得られる.n=6として合計

  (n,0)+(n,3)=21

頂点が得られたわけである.

 しかしながら,20頂点の頂点間距離はcosθ=0にならない.たとえば(1,1,1,−1,−1,−1)の第4・第5・第6座標を固定すると,cosθ=0になるためには(−1,−1,−1,−1,−1,−1)にならなければならないが,これはリストには含まれない.

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[Q]4次元では正8胞体からRPを8個取り除くと16胞体になるが,8次元立方体からどのように取り除けばその次元の正軸体になるのだろうか?

[A]正軸体の辺の長さは4であるから,

  L4=4

より,8次元立方体の頂点を3個おきに結べば,正軸体ができるかもしれない.

 (1,1,1,1,1,1,1,1)を中心とすると,(1,1,1,1,−1,−1,−1,−1)などの合計71頂点が得られる.n=8として合計

  (n,0)+(n,4)=71

頂点が得られたわけである.

 しかしながら,70頂点の頂点間距離はcosθ=0にならない.たとえば(1,1,1,1,−1,−1,−1,−1)の第5・第6・第7・第8座標を固定すると,cosθ=0になるためには(−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1)にならなければならないが,これはリストには含まれない.

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【まとめ】n次元立方体の頂点をどのように結ぼうとも,その次元の同心正単体・正軸体にはならないようである.

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