■離散体積の問題(その7)

 素数が無限に存在すること・√2が無理数であることは,ギリシア数学のなかでも有名な定理です.それぞれユークリッドとピタゴラスが背理法を用いて証明しています.

(証明)素数は有限と仮定して,最大の素数をpkとおく.

  p1p2・・・pk+1

の素な約数は,互いの異なる素数p1,p2,・・・,pkのどれとも一致しない.

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[Q]4m+3型の素数は無限に存在することを証明せよ.

[A]奇素数を4で割ったときの余りは1か3である.4m+1型の数の積

  (4m1+1)(4m2+1)・・・(4mk+1)

はまた4m+1型になる.また,p1,p2,・・・,pkを4m+3型素数とすれば,

  4p1p2・・・pk−1

は4m+3型の素因数を少なくともひとつもたねばならない.それをqとすれば,qは互いの異なる素数p1,p2,・・・,pkのいずれとも異なっている.

[Q]6m+5型の素数は無限に存在することを証明せよ.

[A]3より大きい素数は6m+16m+5のいずれかの形をしている.また,p1,p2,・・・,pkを6m+5型素数とすれば,

  6p1p2・・・pk−1

は必ず6m+5型の素因数を少なくともひとつもたねばならない.それをqとすれば,qは互いの異なる素数p1,p2,・・・,pkのいずれとも異なっている.

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[Q]

  ζ(s)=Π1/(1−1/p^s)=1+1/p^s+1/p^2s+・・・

  ζ(1)=∞(発散),ζ(2)=π^2/6(無理数)

という事実の基づいて,素数が無限に多く存在することを証明せよ.

[A]素数が有限個(k個)敷かないと仮定すると

  Π(1,k)1/(1−1/p^j)≧Σ1/n

でなければならないが,調和級数Σ(1/n)が無限大に発散すること

  1/1+1/2+1/3+・・・=∞

ことから,この不等式は十分大きなnに対しては不可能である.

 また,素数が有限個(k個)敷かないと仮定すると

  Π(1,k)1/(1−1/p^j)=π^2/6

は有理数=無理数となり,等式は成立し得ない.

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[1]x^2+1=0   (mod p)はpが4m+1の形をしているとき,そのときに限り解ける.

[2]x^2+2=0   (mod p)はpが8m+1または8m+3の形をしているとき,そのときに限り解ける.

[3]x^2+3=0   (mod p)はpが6m+1の形をしているとき,そのときに限り解けるという事実の基づいて,次の形の素数が無限に多く存在することを証明せよ.

[Q]4m+1型の素数は無限に存在することを証明せよ.

[A]p1,p2,・・・,pkを4m+1型素数とすれば,

  (2p1p2・・・pk)^2+1

は4m+1の形をしていて,その最小の素因数pはp1,p2,・・・,pkのいずれとも異なっている.

[Q]6m+1型の素数は無限に存在することを証明せよ.

[A]p1,p2,・・・,pkを6m+1型素数とすれば,

  (2p1p2・・・pk)^2+3

は6m+1の形をしていて,その最小の素因数pはp1,p2,・・・,pkのいずれとも異なっている.

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