■離散体積の問題(その5)

 領域x^2+y^2≦r^2に含まれる格子点の数をTとすると,ガウスは

  |T−πr^2|<cr

を示したが,

  |T−πr^2|<cr^k

となるkの最小値を求める問題に一般化される.

 シェルピンスキーはk≦2/3を証明し,ガウスのk=1を大きく改善した.ヴィノグラードフはk≦34/53,1963年に陳景潤はk≦24/37を,1990年にハクスリーはk≦46/73を得たが,シェルピンスキーの成果からほんのわずかしか進んでいない.最近,ハクスリーは46/73を131/208に改良している.

 下の値は1915年,ハーディとランダウが与えたk=1/2と予想されている.

  T=πr^2+O(r^1/2)

 今回のコラムでは

  T=πr^2+O(r^2/3logr)

であることを証明したい.

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 領域x^2+y^2≦r^2に含まれる格子点の数をTとすると

  T=1+4[r]+8Σ[√(r^2−x^2)]−4[r/√2]

(証)

 T1:x=0,0<y≦r

 T2:0<x≦r/√2,0<y≦√(r^2−x^2)

 T3:0<y≦r/√2,0<x≦√(r^2−y^2)

 T4:0<x≦r/√2,0<y≦r/√2

とすると,求める数はT=1+4(T1+T2+T3−T4)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 したがって,区間0<x≦r/√2において,f(x)=√(r^2−x^2)とおくと,

  f’(x)=−x/√(r^2−x^2)

  f”(x)=−r^2/(r^2−x^2)^3/2

  1/r≦|f”(x)|≦√8/r

 区間Q≦x≦Rにおいて,1/A≦|f”(x)|≦k/Aのとき,

  Σ{f(x)}=1/2|R−Q|+θΔ,|θ|<1

  Δ=(2k^2(R−Q)logA++8kA)A^-1/3

 ここで,ソニンの公式を適用すると

  T=4r+8∫(0,r/√2)√(r^2−x^2)dx+8ρ(r/√2)−8ρ(0)r−4r/√2−4r^2/2+8r/√2{r/√2}+O(r^2/3logr)

  T=πr^2+O(r^2/3logr)

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