■n次元正多面体の辺と対角線(その39)

 長さの2乗の和にとくに具体的な意味があるとは思えません.むしろ,2乗を取り去ったほうが問題としては自然です.

 (その38)では,

[1]対角線の長さの平方の逆数の和公式

  Σ(1,n-1)1/dj^2=(n^2−1)/12

[2]ひとつの頂点からでるすべての辺と対角線の長さの平方の和は頂点数の2倍に等しい.

  Σ(1,n-1)dj^2=2n

が成り立つ.

[3]長さの総和の2乗と長さの2乗の総和の間に

  (Σ(1,n-1)dj)^2≦(n−1)Σ(1,n-1)dj^2=2n(n−1)<2n^2

が成り立つ.

[4]すべての辺と対角線の長さの平方の和は頂点数の2乗に等しい.

  Σ(1,n(n-1)/2)dj^2=n^2

は成り立つ.

[5]対角線の長さの平方の逆数の和は

  Σ(1,n(n-1)/2)1/dj^2=n(n^2−1)/24

が成り立つ.

[6]長さの総和の2乗と長さの2乗の総和の間に

  (Σ(1,n(n-1)/2)dj)^2≦n(n−1)/2Σ(1,n(n-1)/2)dj^2=n^3(n−1)/2<n^4/2

が成り立つ.

ことを紹介しましたが,ここではやり残しを片づけておきたいと思います.

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 2次元の場合,コーシー・シュワルツの不等式(u・v≦|u||v|)を適用すれば,長さの総和の2乗と長さの2乗の総和の間に

  (Σ(1,n-1)dj)^2≦(n−1)Σ(1,n-1)dj^2=2n(n−1)

が成り立つ.

 ここで,チェビシェフの不等式においてb=1/aと置くと

  (Σa)・(Σ1/a)≧n^2

となるから,

  (Σ(1,n-1)dj)^2・(Σ(1,n-1)1/dj)^2≧(n−1)^4

  (Σ(1,n-1)1/dj)^2≧(n−1)^4/(Σ(1,n-1)dj)^2≧(n−1)^3/2n

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 また,高次元の場合,長さの総和の2乗と長さの2乗の総和の間に

  (Σ(1,n(n-1)/2)dj)^2≦n(n−1)/2Σ(1,n(n-1)/2)dj^2=n^3(n−1)/2

が成り立つ(はずである).

 同様に,チェビシェフの不等式より

  (Σa)・(Σ1/a)≧n^2

となるから,

  (Σ(1,n(n-1)/2)dj)^2・(Σ(1,n(n-1)/2)1/dj)^2≧n^4(n−1)^4/16

  (Σ(1,n(n-1)/2)1/dj)^2≧n^4(n−1)^4/16(Σ(1,n(n-1)/2)dj)^2≧n(n−1)^3/8

が成り立つ(はずである).

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