■平行体の体積とグラミアン(その16)

 n次元正単体を構成するのに,全体を1次元上げたことが影響しているのだろうか?

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[1]鏡映対称変換

 3次元の場合,全体を1次元あげて4次元正単体の境界多面体

  V1(1,0,0,0)

  V2(0,1,0,0)

  V3(0,0,1,0)

  V4(0,0,0,1)

  x+y+z+w=1

をとるとしよう.

 x≧y≧z≧w≧0なる点P(x,y,z,w)が与えられたとき,ずべての稜線の長さが等しくなるのは,点Pからw=0平面,x=y平面,y=z平面,z=w平面までの距離が等しいときである.点Pをn−1次元境界多面体上の点(w=0)として,点P(x,y,z,0)からx=y平面,y=z平面,z=w平面までの距離を等しくとると

  (x−y)/√2=(y−z)/√2=(z−w)/√2

 → x=3z,y=2z,z=z,w=0

これらは,x+y+z+w=1上の点であるから代入すると,6z=1

 → x=1/2,y=1/3,z=1/6,w=0

一般には,S=n(n+1)/2として

 → x=n/S,y=(n−1)/S,z=(n−2)/s,・・・,w=0

また,点P(x,y,z,w)のx=y平面に対する鏡映は(y,x,z,w)であるから,辺の長さは√2|x−y|=√2/S.

 ここでは4次元空間内の距離を求めてはいるが,すべて4次元超平面x+y+z+w=1上の距離なので問題があるとは思えない.問題があるとすれば,中心から各面までの距離であろう.

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[2]中心から各面までの距離

 切頂切稜面と中心座標

  Pn(1/(n+1),・・・,1/(n+1))

の距離を求める.

  P0(1,0,0,・・・,0)

  P1(1/2,1/2,0,・・・,0)

  P2(1/3,1/3,1/3,・・・,0)

  Pn-1(1/n,1/n,1/n,・・・,0) 

とおくと,切頂切稜面はPkPnに垂直で,点

  Q=(n/S,(n−1)/S,(n−2)/S,・・・,0)

を通る.

PnP0=(1−1/(n+1),−1/(n+1),・・・,−1/(n+1))

PnP1=(1/2−1/(n+1),1/2−1/(n+1),−1/(n+1),・・・,−1/(n+1))

PnPn-1=(1/n−1/(n+1),・・・,1/n−1/(n+1),−1/(n+1))

 ファセットを定めている不等式は,

  a・x=c

で与えられる.一般に,超平面a・x=cと点x0の距離は

  |a・x0−c|/‖a‖

とくに,原点からファセットまでの距離は|c|/‖a‖となる.

 PnP0に垂直なn次元超平面が点Qを通るのだが,原点をPnに移した方が紛らわしくないので

  a0=(1−1/(n+1),−1/(n+1),・・・,−1/(n+1))

  q=(n/S−1/(n+1),(n−1)/S−1/(n+1),(n−2)/S−1/(n+1),・・・,0−1/(n+1))

とすると,この超平面をa・(x−q)=0,a・x=a・q=cで表すと

  c0=n/2S,h0=|c0|/‖a0‖

 PnP1に垂直なn次元超平面では

  a1=(1/2−1/(n+1),1/2−1/(n+1),・・・,−1/(n+1))

  c1=(n−1)/2S,h1=|c1|/‖a1‖

 PnPn-1に垂直なn次元超平面では

  an-1=(1/n−1/(n+1),1/n−1/(n+1),・・・,−1/(n+1))

  cn-1=1/2S,hn-1=|cn-1|/‖an-1‖

  ‖ak‖^2=Σ(1/(k+1)−1/(n+1))^2+Σ(1/(n+1))^2=(n−k)^2/(k+1)(n+1)^2+(n−k)/(n+1)^2=(n−k)/(k+1)(n+1)

  hk=(n−k)/2S・{(k+1)(n+1)/(n−k)}^1/2=1/n・{(k+1)(n−k)/(n+1)}^1/2

 これでもhk=hn-k+1にはならないが,

  n=3,k=0のとき.h0=1/3・{3/4}^1/2

  n=3,k=1のとき.h1=1/3・{4/4}^1/2

  h0/h1={3/4}^1/2=√3/2

となって,切頂八面体の計量と一致する.

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[3]まとめ

 原正多胞体の面数公式を

  Nk^(n)=n+1Ck+1

また,規格化した後のk次元面までの距離をHkとする.

  Hk=hkS/√2={(k+1)(n−k)(n+1)/8}^1/2

 置換多面体の体積公式は

  Vn=N0Vn-1H0/n+N1Vn-2H1/n+・・・+Nn-2Vn-2H1/n+Nn-1Vn-1H0/n

nが奇数のとき,中央項はn−[(n+1)/2]次置換多面体柱柱・・・になる.

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