■n次元の立方体と直角三角錐(その97)

 やっと一歩前進しました.今回のコラムでは空間充填2^n+2n面体のf2公式にチャレンジしてみたいと思います.

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[1]n=3のとき

 第1象限にある頂点P(x,x/2,0)を考えてみます.鏡映対称変換によって,第1象限内に移る点はその置換3!個(=正六角形)です.胞の位置には全部で8枚の正六角形ができます.

 また,頂点P(x,x/2,0)の周囲には4点(x,±x/2,0),(x,0,±x/2)からなる正方形ができるので,8+6=14面体となるわけです.

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[2]n=4のとき

 頂点P(x,x,0,0)の置換は4!/2!2!=6個(=正八面体)あります.胞の位置には全部で16個の正八面体ができます.

 また,頂点P(x,x,0,0)の周囲には6点(x,±x,0,0),(x,0,±x,0),(x,0,0,±x)からなる正八面体ができるので,16+8=正24胞体となるわけです.

 正軸体の頂点と胞の位置に新たな面ができるのですが,それらが連結するとき,何種類かの図形がさまざまな面を互いに共有し合いながら,n次元空間を連結していきます.したがって,2次元面の合計は正八面体24個分=24×8=192ではなく,

  2f2=24×8=192,f2=96

になります.

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[3]n=5のとき

 各頂点がn本の辺上にあるn価のn次多面体(単純多面体)に対しては,デーン・サマービル関係式

  fk=Σ(0,k)(−1)^j(n−j,n−k)fj

が成り立ちます.単純n次多面体に対して,与えられたj次面を含むk次面の数は(n−j,n−k)になります.k=nのときがオイラー関係式ですが,オイラー関係式は単純多面体だけでなく任意の多面体に対して成り立ちます.

 頂点P(x,x,x/2,0,0)の置換は5!/2!2!=30個ありますが,直接,点P(x,x,x/2,0,0)と結ばれる第1象限内の点は(x/2,x,x,0,0),(x,x/2,x,0,0),(x,x,0,x/2,0),(x,x,0,0,x/2)の4点です.f0=240,f1=720より,この多面体は単純多面体ではありません.なお,仮に単純多面体だとしても,デーン・サマービル関係式からはf2を求めることはできません.

 f0=240,f1=720より,他の象限に向かってもう2本の辺がでるはずですが,確かめてみましょう.点P(x,x,x/2,0,0)の周囲には(x,±x,±x/2,0,0)の置換4!/2!・4=48個ありますが,直接,点P(x,x,x/2,0,0)と結ばれる第1象限以外の点は(x,x,0,−x/2,0),(x,x,0,0,−x/2)の2点です.

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[4]n=6のとき

 頂点P(x,x,x,0,0,0)の置換は6!/3!3!=20個あり,直接,点P(x,x,x,0,0,0)と結ばれる第1象限内の点は(x,x,0,x,0,0)(x,x,0,0,x,0),(x,x,0,0,0,x),(x,0,x,x,0,0),(x,0,x,0,x,0),(x,0,x,0,0,x),(0,x,x,x,0,0)(0,x,x,0,x,0),(0,x,x,0,0,x)の9点です.

 また,点P(x,x,x,0,0,0)の周囲には(x,±x,±x,0,0,0)の置換5!/2!3!・4=40個ありますが,直接,点P(x,x,x,0,0,0)と結ばれる第1象限以外の点は(x,x,0,−x,0,0),

(x,x,0,0,−x,0),(x,x,0,0,0,−x),(x,0,x,−x,0,0),(x,0,x,0,−x,0),(x,0,x,0,0,−x)の6点です.

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[雑感]

 2辺を結ぶと面ができるから単純に考えるとそれでよさそうですが,共面になって正六角形や正三角形ができる場合があります.目標はn=5における頂点数30,48の図形,n=6における頂点数20,40の図形の2次元面数ですが,難しそうです.

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