■n次元の立方体と直角三角錐(その91)

 これまでの考察には勘違いが含まれているが,それでも超立方体と正軸体の「積多胞体」は有用なアイデアと思われる.

 また,辺を構成する頂点数,正多角形を構成する辺数,n次元正多胞体を構成するn−1次元面の数を並べて書けば,

  超立方体=(2,4,6,・・・,2n)

  正軸体=(2,3,4,,・・・,n,2^n)

と表記される.これらの積はいずれもg=2^nn!で,n次元空間をg個の対称領域に分割する.シュレーフリ記号よりは何か手がかりを与えてくれるかもしれない.問題となっている点を整理してみたい.

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[1]n=5のとき(5次元42胞体){3,3,3,4}(0,1,1,0,0)

 5次元の超立方体の2次元面と3次元面の面の間を通る場合(あるいはその双対として5次元正軸体の辺の中点と2次元面の中心の間を通る場合),立方体の内部に正八面体型に頂点ができる.また,4次元立方体は8個の立方体から構成されるので,48頂点からなる4次元図形ができることになる.いまのところ,その辺数・面数はわからないが,これまでの検討から正八面体と切頂四面体からなるものと思われる.そして,5次元正32胞体の4次元面の位置に4次元切頂単体があるのだが,積多面体においては,正軸体の面と3次元面と4次元面,4次元立方体の3次元面,4次元面が保存されることになる.

[2]n=6のとき(6次元76胞体){3,3,3,3,4}(0,0,1,0,0,0)

 6次元の超立方体の3次元面の面160個の中心を通る場合,3次元立方体の中心を頂点とする正16胞体(頂点数8)が4次元立方体の内部にできる.また,5次元立方体は10個の4次元立方体から構成されるが,この場合は頂点が3次元立方体の面上にあるため,ひとつの頂点が2回重複して数えられるので,40頂点からなる5次元図形ができることになる.そして,5次元正32胞体の5次元面の位置に5次元切頂単体があるのだが,積多面体においては,正軸体の3次元面と4次元面と5次元面,4次元立方体の4次元面,5次元面が保存されることになる.

[3]多胞体の連結

[1]n=5のとき,頂点周りにできる48頂点からなる4次元図形

[2]n=6のとき,頂点周りにできる40頂点からなる5次元図形

が連結するとき,何種類かの図形がさまざまな面を互いに共有し合いながら,n次元空間を連結していく.とくにn−1次元面を共有し合う場合はn次元空間を充填することもある.

 5次元立方体は10個の4次元立方体から,6次元立方体は12個の5次元立方体から構成されるが,さまざまな面を互いに共有しあいながら構成されるので,頂点数は48×10,40×12にはならないのである.

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[雑感]各面がp角形,各頂点が正q角錐である正多面体を(p,q)で表します.(p,q)をシュレーフリ記号と呼びます.シュレーフリはこれを一般化して,n次元正多面体を

  (p1,p2,・・・,pn-1)

で表しました.これは(n−1)次元正多面体(p1,p2,・・・,pn-2)が(n−3)次元面上にpn-1個ずつ会するようなn次元正多面体という意味です.たとえば(p,q)はp角形が頂点の周りにq個ずつ集まってできる3次元正多面体,(p,q,r)は3次元正多面体(p,q)が辺の周りにr個ずつ集まってできる4次元正多面体ということになります.

 5次元立方体{4,3,3,3}は10個の4次元立方体{4,3,3}が面の周りに3個ずつ集まって,6次元立方体{4,3,3,3,3}は12個の5次元立方体{4,3,3,3}が3次元面の周りに3個ずつ集まって構成されますが,シュレーフリ記号が手がかりを与えてくれるかどうかは甚だ疑問です.

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