■n次元の立方体と直角三角錐(その88)

 空間充填2^n+2n面体のモデルとして逐次構造モデルを導入したが,それはぽしゃってしまった.さらに,(その87)では一番最初に頭に浮かんだ単純なモデルに戻ってしまった.

 初期モデルはオイラー・ポアンカレの公式を満たさなかったため廃棄したのであるが,原点回帰というよりも振り出しに戻ってしまった気分である.もう一度,初期モデルに立ち返り,それを修正していきたいと思う.

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【1】単純素朴な構造

 空間充填2^n+2n面体は

[1]n次元立方体を超平面:x1+・・・+xn=n/2で切頂する

あるいは

[2]n次元正軸体を超平面:x1=2/nで切頂する

ことによって得られます.ここでは[1]を考えますが,この超平面の特徴はnが偶数のとき,点Pn/2を通るということです.

[1]n=2のとき

 正方形の辺の中点を結ぶ正方形(2次元正軸体)となる.

[2]n=3のとき(切頂八面体)

 正方形面内(正八面体の頂点の位置)に正方形(2次元正軸体)型に頂点,立方体の辺の位置(正八面体の辺の位置)に12個の辺ができ,正八面体の2次元面の位置に正方形面をむすぶように正六角形面ができる.

[3]n=4のとき(正24胞体)

 立方体の各面の中心(正16胞体の頂点の位置)に頂点ができる.立方体の内部には正八面体(3次元正軸体),また,正16胞体の3次元面の位置には正八面体(中点切頂四面体)ができる.

[4]n=5のとき(5次元42胞体)

 立方体の内部に正八面体型に頂点ができる.立方体の面の位置(正八面体の辺の位置)に辺ができ,立方体の頂点(正八面体の面の位置)に面ができる.そして,4次元正16胞体の4次元面の位置に4次元切頂単体がある.

[5]n=6のとき(6次元76胞体)

 3次元立方体の中心を頂点とする正16胞体が,4次元立方体の内部にできる.4次元正軸体の辺の位置に辺ができ,正軸体の面の位置に面ができる.そして,5次元正32胞体の5次元面の位置に5次元切頂単体がある.

 これらのことから,

[1]n=3のとき(切頂八面体)

  f0=(2次元正軸体の頂点数)×(3次元立方体の面数)=4×6=24

  f1=(2次元正軸体の辺数)×(3次元立方体の面数)+(3次元正軸体の辺数)=4×6+12=36

  f2=(2次元正軸体の面数)×(3次元立方体の面数)+(3次元正軸体の面数)=1×6+8=14

[2]n=4のとき(正24胞体)

  f0=(4次元立方体の面数)=24

  f1=(3次元正軸体の辺数)×(4次元立方体の3次元面数)=12×8=96

  f2=(3次元正軸体の面数)×(4次元立方体の3次元面数)+(4次元正軸体の面数)=8×8+32=96

  f3=(3次元正軸体の3次元面数)×(4次元立方体の3次元面数)+(4次元正軸体の3次元面数)=1×8+16=24

 しかし,この先がうまくいかない.

[3]n=5のとき(5次元42胞体)

  f0=(3次元正軸体の頂点数)×(5次元立方体の3次元面数)=6×40=240

  f1=(3次元正軸体の辺数)×(5次元立方体の3次元面数)+(5次元正軸体の辺数)=12×40+40=520

  f2=(3次元正軸体の面数)×(5次元立方体の3次元面数)+(5次元正軸体の面数)=8×40+80=400

  f3=(3次元正軸体の3次元面数)×(5次元立方体の3次元面数)+(5次元正軸体の3次元面数)=1×40+80=120

  f4=(5次元立方体の4次元面数)+(5次元正軸体の4次元面数)=10+32=42

となって,オイラー・ポアンカレの公式を満たさない.

[4]n=6のとき(6次元76胞体)

  f0=(6次元立方体の3次元面数)=160

  f1=(4次元正軸体の辺数)×(6次元立方体の4次元面数)=24×60=1440

  f2=(4次元正軸体の面数)×(6次元立方体の4次元面数)+(6次元正軸体の面数)=32×60+160=2080

  f3=(4次元正軸体の3次元面数)×(6次元立方体の4次元面数)+(6次元正軸体の3次元面数)=16×60+240=1200

  f4=(4次元正軸体の4次元面数)×(6次元立方体の4次元面数)+(6次元正軸体の4次元面数)=1×60+192=252

  f5=(6次元立方体の5次元面数)+(6次元正軸体の5次元面数)=12+64=76

も同様である.

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【2】雑感

 初期モデルには明らかに間違いがありますが,それを修正してこの先に進むためには,

[1]n=5のとき,頂点周りにできる48頂点からなる図形

[2]n=6のとき,頂点周りにできる40頂点からなる図形

の正体を明らかにする必要があります.

 また,与えられた点に対して,勝手に線を引いていけば多面体は作れますが,空間充填2^n+2n面体にすべく,勝手に点をつないで線は引けても面を構成するには相手を選んで線を引かねばならないし,逐次的に引くのも大変です.いずれにせよ,その形を構成するにはかなりの洞察力がいるようです.

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