■n次元の立方体と直角三角錐(その85)

 (その84)で考察したことは低次元では一致していますが,高次元ではなお不一致と思われ,自信を失いました.部分的にせよ再検討しなければなりません.

 まず『3次元空間の場合,頂点との中点の間で切頂するか(浅切頂),辺の中点を通って切頂するか(中点切頂),中点を越えた位置で切頂するか(深切頂),3段階の多面体があります.正単体は自己双対図形なので本質的には2段階の変化となります.4次元空間では5段階の多胞体があり,正単体の場合は3段階の変化,一般のn次元空間では(2n−3)段階の多胞体があり,正単体の場合は(n−1)段階に変化します.』について再検討してみます.

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【1】正単体の切頂による3次元面

[1]3次元

  {3,3}(1,0,0):正四面体

  {3,3}(1,1,0):切頂四面体

  {3,3}(0,1,0):正八面体

[2]4次元

  {3,3,3}(1,0,0,0):正四面体+正四面体

  {3,3,3}(1,1,0,0):切頂四面体+正四面体

  {3,3,3}(0,1,0,0):正八面体+正八面体

  {3,3,3}(0,1,1,0):切頂四面体+切頂四面体

 4次元では特別なことが起きていて,特殊な次元のようです.なぜそうなるのか,本当の理由はわかりませんが,・・・

[3]5次元

  {3,3,3,3}(1,0,0,0,0):正四面体+正四面体

  {3,3,3,3}(1,1,0,0,0):切頂四面体+正四面体

  {3,3,3,3}(0,1,0,0,0):正八面体+正四面体

  {3,3,3,3}(0,1,1,0,0):切頂四面体+正四面体

  {3,3,3,3}(0,0,1,0,0):正八面体+正四面体

 切頂面が正単体の2次元面の中心に達した後は,3次元面に正四面体ができます.

[4]6次元

  {3,3,3,3,3}(1,0,0,0,0,0):正四面体+正四面体

  {3,3,3,3,3}(1,1,0,0,0,0):切頂四面体+正四面体

  {3,3,3,3,3}(0,1,0,0,0,0):正八面体+正四面体

  {3,3,3,3,3}(0,1,1,0,0,0):切頂四面体+正四面体

  {3,3,3,3,3}(0,0,1,0,0,0):正八面体+正四面体

  {3,3,3,3,3}(0,0,1,1,0,0):切頂四面体+正四面体

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【2】正軸体の切頂による3次元面

[1]3次元

  {3,4}(1,0,0):正四面体

  {3,4}(1,1,0):切頂八面体

  {3,4}(0,1,0):立方八面体

  {3,4}(0,1,1):切頂八面体

  {3,4}(0,0,1):立方体

[2]4次元

  {3,3,4}(1,0,0,0):正四面体+正四面体

  {3,3,4}(1,1,0,0):切頂四面体+正八面体

  {3,3,4}(0,1,0,0):正八面体+正八面体

  {3,3,4}(0,1,1,0):切頂八面体+切頂四面体

  {3,3,4}(0,0,1,0):立方八面体+正四面体

  {3,3,4}(0,0,1,1):切頂八面体+正四面体

  {3,3,4}(0,0,0,1):立方体+立方体

 切頂面が正軸体の2次元面の中心に達した後は,3次元面に正四面体ができます.また,切頂面が超立方体の2次元面の中心に達した後は,3次元面に正八面体ができます.正八面体が切頂正単体系と切頂正軸体系の受け渡しを行っていることがわかります.

[3]5次元

  {3,3,3,4}(1,0,0,0,0):正四面体+正四面体

  {3,3,3,4}(1,1,0,0,0):切頂四面体+正四面体

  {3,3,3,4}(0,1,0,0,0):正八面体+正四面体

  {3,3,3,4}(0,1,1,0,0):切頂四面体+正八面体

  {3,3,3,4}(0,0,1,0,0):正八面体+正四面体

  {3,3,3,4}(0,0,1,1,0):切頂八面体+切頂四面体

  {3,3,3,4}(0,0,0,1,0):立方八面体+正四面体

  {3,3,3,4}(0,0,0,1,1):切頂立方体+正四面体

  {3,3,3,4}(0,0,0,0,1):立方体+立方体

[4]6次元

  {3,3,3,3,4}(1,0,0,0,0,0):正四面体+正四面体

  {3,3,3,3,4}(1,1,0,0,0,0):切頂四面体+正四面体

  {3,3,3,3,4}(0,1,0,0,0,0):正八面体+正四面体

  {3,3,3,3,4}(0,1,1,0,0,0):切頂四面体+正八面体+正四面体

  {3,3,3,3,4}(0,0,1,0,0,0):正八面体+正四面体

  {3,3,3,3,4}(0,0,1,1,0,0):切頂四面体+正八面体

  {3,3,3,3,4}(0,0,0,1,0,0):正八面体+正四面体

  {3,3,3,3,4}(0,0,0,1,1,0):切頂八面体+正四面体+切頂四面体

  {3,3,3,3,4}(0,0,0,0,1,0):立方八面体+正四面体

  {3,3,3,3,4}(0,0,0,0,1,1):切頂八面体+正四面体

  {3,3,3,3,4}(0,0,0,0,0,1):立方体+立方体

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【3】空間充填2^n+2n面体

 5次元42胞体は正八面体と切頂四面体で囲まれる図形,6次元76胞体は正八面体と正四面体で囲まれる図形はよいとしても,7次元の場合,切頂四面体と正四面体に囲まれた図形になるのか,切頂四面体と正四面体と正八面体に囲まれた図形になるのか,よくわからない.

 空間充填2^n+2n面体のk次元面数を決定する問題は,2次元・3次元・4次元では既知であるから,高次元空間でも考えるのは自然な問題意識であろう.もちろん,このような問題意識が常に面白い結果を生み出すとは限らないのであるが,いずれにせよ,この問題はとてつもない苦戦を強いられる難問になることがわかった.

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