■n次元の立方体と直角三角錐(その77)

  置換多面体の場合・・・Nk^(n)=n+1Ck+1

  正軸体版の場合・・・・Nk^(n)=2^(k+1)nCk+1

として,面数公式は

  fk^(n)=Σ(j=0~k)Nj^(n)f(k-j)^(n-1ーj)   (k≦n−2)

ときれいな形にまとまった.また,fn^(n)=1とすれば(k≦n−1)とすることもできる.しかも,コラム「正多角形の対角線の交点数」に掲げた交点数公式ほど荘厳でいかめしいものでもない.この美とエレガンス(気品)を鑑賞していただけたであろうか.

 もうひとつ調べてみたい多面体がある.それは空間充填2^n+2n面体である.現在わかっているのは

 2次元:(f0,f1)=(4,4)

 3次元:(f0,f1,f2)=(24,36,14)=切頂八面体

 4次元:(f0,f1,f2,f3)=(24,96,96,24)=正24細胞体の3つだけであり,また,nのパリティー(奇数か偶数か)によって違いを生ずるということである.すなわち,nが偶数か奇数かのケースにわける必要がある.

 また,f1=n/2・f0も成り立たないから単純多面体ではないし,置換多面体にみられた逐次構造も有していないようである.

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【1】超立方体の切頂型

 超立方体の角を切り落とした図形は,簡単な図形ではない(一種の準正多胞体).大変複雑な形になって,奇数次元の場合と偶数次元の場合とでも中央の次元の頂点(4次元の場合(1,1,0,0))を通るか,それとも頂点を通らないかの差が生じる.

 切り方が薄い(浅い)場合,切頂八面体が8胞と切り口の正四面体16胞からなる図形になる.各辺の中点で切れば前者は立方八面体になるから,立方八面体8胞と正四面体16胞.切り方が深い場合は余り簡単な図形にはならない.

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【2】正軸体の切頂型

 正16胞体を24本の辺の中点で切った残りは24胞体であるが,それ以外は一般に2種類の胞(正多面体と準正多面体)に囲まれた図形になる.

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【3】再考

 n次元の立方体(頂点数2^n)の全頂点からは一斉に2^n個切り落として残る図形=n次元の正軸体(頂点数2n)の全頂点からは一斉に2n個切り落として残る図形を考えてみよう.

 その場合であっても,切り口が辺の中点,面の中心,胞の中心,・・・などを通るときにできる特別な図形に要点があるのか,それともそのように移っていく途中の推移が問題なのかによって話が違ってくるが,たとえば,3次元の立方体については

[1]辺心に達するまで:切頂六面体

[2]辺心      :立方八面体

[3]辺心から面心の間:切頂八面体の形

[4]面心      :正八面体

同じことであるが,正八面体については

[1]辺心に達するまで:切頂八面体

[2]辺心      :立方八面体

[3]辺心から面心の間:切頂六面体

[4]面心      :正六面体

また,4次元の超立方体については

[1]辺の中点を通る場合:立方八面体と正四面体で囲まれる図形

[2]面の中心を通る場合:正24胞体

[3]胞の中心を通る場合:正16胞体

になる.ただし,これは例外的に簡単な場合で,5次元以上の超立方体については一般的な形はわかっていないように思われる(だから研究する価値がある).

 4次元の場合もこのように追ってゆけば概略の形が見当つくが,中間の形は大変に複雑なものになる.たとえば,4次元の超立方体の場合,面の中心を通るような切断では全体として正24胞体ができる.その中間では正16胞体や正24胞体を切断(必ずしも切頂でなく,場合によっては胞に平行に切った形など)した形が現れるようである.いずれにせよ,その形を構成するにはかなりの洞察力がいるようだ.

 空間充填2^n+2n面体について洞察してみると

[1]たとえば,3次元立方体の辺の中点と面の中心の間を通る場合(あるいはその双対として正八面体の面の中心と辺の中心の間を通る場合),12個の辺ができ,正方形面をむすぶ正六角形面となります(切頂八面体)

[2]4次元の超立方体の2次元面の面24個の中心をとる操作の双対として,正16胞体の24本の辺の中点をとることを考えます.その場合,正16胞体の各胞となる正四面体の中に16個の正八面体ができます.このときさらに小四角錐が結びついて8個の頂点の周りに8個の正八面体ができ,合計24個の正八面体に囲まれた図形(正24胞体)ができます.

[3]5次元の超立方体の2次元面と3次元面の面の間を通る場合(あるいはその双対として5次元正軸体の3次元面の中心と2次元面の間を通る場合),全体を1次元上げて正八面体の面となる三角形面が正四面体になったものを想像してみます.正四面体の頂点と辺の中点の間を通る場合,切頂六面体と正八面体(小四角錐)ができます.

[4]6次元の超立方体の3次元面の面160個の中心を通る場合,全体を1次元上げて正八面体の面となる三角形面が正四面体になったものを想像してみます.正四面体の辺の中点を通ることになり,正八面体と正八面体(小四角錐)ができます.

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【4】まとめ

[1]3次元立方体の辺の中点と面の中心の間を通る場合

 切頂八面体(正方形と正六角形で囲まれる図形)

[2]4次元立方体の面の中心を通る場合

 正24胞体(正八面体で囲まれる図形)

[3]5次元立方体の面の中心と3次元面の中心を通る場合

 42胞体(正八面体と切頂四面体で囲まれる図形)

[4]6次元立方体の3次元面の中心を通る場合

 76胞体(正八面体で囲まれる図形)

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