■n次元の立方体と直角三角錐(その73)

 置換多面体のf3公式でつまづいてしまったが,それは後回しにして,正軸体版のf2公式を調べてみたい.正軸体は正単体とは違って自己双対でないから,その分厄介になるはずだ.

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【1】正軸体版の逐次構造

[1]大菱形立方八面体の正八面体の6頂点に配置された6枚の正八角形の頂点同士,辺同士を結ぶことを考える.6枚の正八角形の辺数の合計は48.このとき,新たにできる辺は正方形面の側面にある2辺×12=24だけである.したがって,大菱形立方八面体の辺数は合計72本である.

 また,2辺を結ぶと面ができるから,単純に考えると新たにできる面数は24となるはずである.しかし,このうち正八面体の面に配置された8カ所は共面となるので,8枚の正六角形ができる.また,正八面体の辺に配置された12カ所には12枚の正方形ができるので,6+12+8=26面体となるわけである.

[2]4次元正軸体版では,正16胞体の8頂点に大菱形立方八面体が配置されているが,8個の大菱形立方八面体の辺数の合計は72本×8=576である.このとき,新たにできる辺は八角柱の側面にある8本×24=192(=六角柱の側面にある6本×32=192)であるから,8個の大菱形立方八面体の辺数を加えて合計768本となる.

 また,8個の大菱形立方八面体の面数の合計は26面×8=208である.このとき,単純に考えると新たにできる面数は208/2=104となるが,このうち正16胞体の胞に配置された16カ所は切頂八面体(共面)となるので,新たに4枚の正六角形ができる.また,正16胞体の辺に配置された24カ所には新たに八角柱の側面(8面)×24=192(=辺に配置された32カ所には新たに六角柱の側面(6面)×32=192)枚の正方形ができるので,合計208+64+192=464面となる.

 正16胞体の胞に配置されたところには8個の切頂八面体ができる.また,正16胞体の辺と面に配置されたところにはそれぞれ24個の八角柱と32個の六角柱ができるので,8+24+32+16=80胞体となるわけである.

[3]5次元正軸体版では,正32胞体の10頂点に4次元正軸体版が配置されているが,10個の4次元正軸体版の辺数の合計は768本×10=7680である.このとき,新たにできる辺は大菱形立方八面体の側面にある48本×40=1920であるから,10個の4次元正軸体版の辺数を加えて合計9600本となる.

 また,10個の4次元正軸体版の面数の合計は464面×10=4640である.このとき,単純に考えると新たにできる面数は4640/2=2320となるが,このうち正32胞体の胞に配置された32カ所は4次元置換多面体(共面)となるので,新たに20枚の正六角形ができる.また,正32胞体の辺に配置された40カ所には新たに大菱形立方八面体柱の側面(72面)×40=2880枚の正方形ができるので,合計4640+640+2880=8160面となる.

 正32胞体の胞に配置されたところには32個の4次元置換多面体ができる.また,正16胞体の辺と面と3次元面に配置されたところにはそれぞれ新たな胞ができるので,10+40+80+80+32=242胞体となるわけである.

[4]6次元正軸体版では,正64胞体の12頂点に5次元正軸体版が配置されているが,12個の5次元正軸体版の辺数の合計は9600本×12=115200である.このとき,新たにできる辺は4次元正軸体版柱の側面にある384本×60=23040であるから,12個の5次元置換多面体の辺数を加えて合計138240本となる.

 また,12個の5次元正軸体版の面数の合計は8160面×12=97920である.このとき,単純に考えると新たにできる面数は97920/2=48960となるが,このうち正64胞体の胞に配置された64カ所は5次元置換多面体(共面)となるので,新たに120枚の正六角形ができる.また,正64胞体の辺に配置された60カ所には新たに4次元正軸体柱の側面(768面)×60=46080枚の正方形ができるので,合計97920+7680+46080=151680面となる.

 正64胞体の胞に配置されたところには64個の5次元置換多面体ができる.また,正6胞体の辺と面と3次元面と4次元面に配置されたところにはそれぞれ新たな胞ができるので,12+60+160+240+192+64=728胞体となるわけである.

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【2】正軸体版のg1,g2公式   (n≧4)

 置換多面体のf1,f2公式と区別するためにg1,g2公式とするが,

  g1^(n)=2nC1g1^(n-1)+2^2nC2g0^(n-2)

     =2ng1^(n-1)+2n(n−1)g0^(n-2)

  g2^(n)=2nC1g2^(n-1)+2^2nC2g1^(n-2)+2^nn!/6

     =2ng2^(n-1)+2n(n−1)g1^(n-2)+g0^(n)/3!   

 これらの組み合わせ論的な意味は上に述べたとおりである.

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