■五角形のタイル貼り、新しいパターンの探索(4)

 杉本さんが6月の形の科学会で紹介される予定のライスさんの新しいパターンを、私は勝手に六弁の水仙の花にイメージしています。それ以前に発見された4つのタイプ(type10〜13)についてはチューリップとみなしてきました。

 そこで四弁の花でまねをしていたところ、いただいた彼女のスケッチの中にはないかもしれないパターンができました。type4に辺長e=2cという条件を付加したものです。平行移動の基本領域は赤い4枚組みとその鏡映である青い4枚組みを合わせた8枚組みです。

 さっそく杉本さんに検討していただきました。杉本さん,いわく「まったく同じ性質を示す凸五角形タイリングは私の手元にある文献にはないようです(ただし,Marcia P Sward Lobby Tilingのように当然私が知らないだけで,すでに凸五角形タイリングとしてどこかで示されている可能性は当然あります).

 お気づきだと思いますが,4枚組の領域を十字形でなく添付した図のように黄色や橙色の凸六角形の領域でタイリングをみることもできます.このように,タイリングを黄色や橙色のような凸六角形で生成されたもの(つまり凸六角形タイリング)と見なした場合,このようなタイリングを示した文献等は存在しますし,凸六角形のタイリングとしては新しい張り方ではないと理解してもらえると思います.

 以上のようなことから,中川さんの今回のタイル張り模様が,私が知らないだけですでに示されている可能性が高いかもと感じました(凸五角形タイル張り問題とは違った問題などの文献等で示されている可能性もありそうだと感じました).

 しかし,私がこれまで発表してきた新しい(と思える)凸五角形タイリングのように,4枚組の凸五角形を中川さんの図でいうと縦方向に自由に組み合わせてタイリングを出来るという性質の主張は,type 4に属す凸五角形では見かけた記憶もないので,新しい(と思える)凸五角形タイリングと,とりあえず主張してもよいと思います.」   (中川宏)

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