■スターリングの公式の図形的証明?(その10)

 スターリングの公式の図形的証明では,直角三角錐RT,RP,・・・(体積n!)を立方体(体積n^n)で,あるいはn次元切頂八面体をn次元超球で近似させることによって,

  n!/n^n〜cf(n)

を得てきた.たとえば,正軸体と切頂正軸体の体積比較によって

  1/k・2/k・・・(k−1)/k・k/k≦2(1/2)^k

正軸体の内接球と切頂正軸体の体積比較によって

  1/k・2/k・・・(k−1)/k・k/k〜2(π/8)^k

が得られた.さらに,πe=8,539・・・より,

  1/k・2/k・・・(k−1)/k・k/k〜2(1/e)^k

が示される.

 スターリングの公式は,nがおおきくなるにつれて

  n!/n^n 〜 √(2πn)exp(−n)

  n!/n^n 〜 √(2πn)/e^n

であるから,ここまでくればスターリングの公式に非常に接近した値が得られたことになる.

 さらに√(2πn)をウォリスの公式

  √π〜(n!)^22^2n/(2n)!√n

に頼らず,図形的に得ることはできないだろうか?

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 1象限分の直角三角錐の体積は1/n!である.

n次元切頂八面体の体積:1/2・(2/n)^n

切頂した分の体積   :(1−2/n)^n・n/n!

として,

  1/n!〜(1−2/n)^n・n/n!+1/2・(2/n)^n

  1/n!・{1−n(1−2/n)^n}〜1/2・(2/n)^n

ここで,

  n!/n^n〜2(1/e)^n

であるから,{1−n(1−2/n)^n}が√nのオーダーであればよい.

 n→∞のとき,(1−2/n)^n→1/e^2であるから,

  {1−n(1−2/n)^n}→−∞

 どうも切頂した分の体積を引きすぎているようであるが,√nのオーダーにはなりそうもない.

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