■n次元の立方体と直角三角錐(その67)

  D1=Δ(3,3,・・・,3:n−2)   (:のあとは引数の個数)

  D2=Δ(3,3,・・・,3:n−3)

とおくと

  Δ(4,3,3,・・・,3)=D1−c1^2D2

になる.

 これを使えば

  Δ(4,3,3,・・・,3)=n/2^(n-1)-1/2・(n-1)/2^(n-2)=1/2^(n-1)

となるが,ここでは

  Δ(4,3,3,・・・,3)=1−σ1+σ2−σ3+・・・±σ3[n/2]

  σ1=Σci^2

  σ2=Σci^2cj^2

  σ3=Σci^2cj^2ck^2

と使って計算したい.

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【1】再検討

 (その66)で失敗したσの計算について再検討する.総和Σをとるための条件がややこしく,間違って同じ条件のものを複数回足し算したり,条件に合うものを足し忘れたりすると正しい結果は得られない.計算が合わないのはそのせいではなかろうか?

 Δ(4,3,3,・・・,3)においては,c1のみがc1=cos(π/4)=1/√2,c2以降はcos(π/3)=1/2である.よってc1を含む和とそうでないものの和に分解して,たとえば,σ2では総和をとるための条件は

  i<j−1

であるから

  σ2=Σ(i<j-1)ci^2cj^2=Σ(1<j-1)c1^2cj^2+Σ(1<i,i<j-1)ci^2cj^2

=c1^2Σ(j=2~n-1)cj^2+Σ(1<i,i<j-1)ci^2cj^2

 また,σ3では総和をとるための条件は

  i<j−1,j<k−1

であるから

  σ3=Σ(i<j-1,j<k-1)ci^2cj^2ck^2=Σ(1<j-1,j<k-1)c1^2cj^2ck^2+Σ(1<i,i<j-1,j<k-1)ci^2cj^2ck^2

=c1^2Σ(1<j-1,j<k-1)cj^2ck^2+Σ(1<i,i<j-1,j<k-1)ci^2cj^2ck^2

 すると

  σ1=Σci^2=1/2+(n−2,1)/4

  σ2=c1^2Σ(j=2~n-1)cj^2+Σ(1<i,i<j-1)ci^2cj^2=1/2・(n−2,1)/4+(n−3,2)/4^2

  σ3=c1^2Σ(1<j-1,j<k-1)cj^2ck^2+Σ(1<i,i<j-1,j<k-1)ci^2cj^2ck^2=1/2・(n−3,2)/4^2+(n−4,3)/4^3

となって(その66)に掲げた

  σ1=Σci^2=(n−2,1)/4+1/2

  σ2=Σci^2cj^2=(n−3,2)/4^2+1/2・(n−2,1)/4

  σ3=Σci^2cj^2ck^2=(n−4,3)/4^3+1/2・(n−3,2)/4^2

と同じである.

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【2】再計算

 上部パラメータが負の整数の場合,超幾何関数は有限級数になる.たとえば,  1F1(-2,1,x)=1−2x+x^2/2

  2F1(-2,1,3,x)=1−2/3x+x^2/6

 したがって,2F1(-n-1,-1;-n+1:x)は有限級数ではあるが=1にはならない.

  1−(n+1)/(n−1)x

x=−1とおくと

  1+(n+1)/(n−1)=2n/(n−1)

しかし,それでもなお合わない.

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【3】雑感

 (その66)では,c1=cos(π/4)=1/√2,c2以降はcos(π/3)=1/2としたが,c1=・・・=cn-2=cos(π/3)=1/2,cn-1=cos(π/4)=1/√2と置き換えた方が混乱しなくて済むかもしれない.

  Δ(3,3,・・・,3,4)

をcn-1^2を含む項とそうでない項に分けて,σkを計算すると

  σ1=Σci^2=(n−2,1)/4+1/2

  σ2=Σci^2cj^2=(n−3,2)/4^2+1/2・(n−2,1)/4

  σ3=Σci^2cj^2ck^2=(n−4,3)/4^3+1/2・(n−3,2)/4^2

となって,Δ(4,3,3,・・・,3)の場合と変わらない.したがって,間違いはσkの計算にあることになる.

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