■スターリング型不等式の証明と漸近評価(その6)

 (その2)では

  1/n・2/n・・・(n−1)/n・n/n≦1/2^n-1

であることを証明できた.

 スターリングの公式

  n! 〜 √(2πn)(n/e)^n

は面白い公式で,たとえば,

  n!/n^n 〜 √(2πn)/e^n

  1/n・2/n・・・(n−1)/n・n/n 〜 √(2πn)/e^n

として,全体のn乗根をとればk/nの相乗平均が大まかに1/eに近いことがわかるだろう.

 あるいは

  1/n・2/n・・・(n−1)/n・n/n≦1/2^n-1

より,k/nの相乗平均が大まかに1/2に近いといったほうがいいかもしれない.

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 さて,オイラーの問題「xが[e^(-e),e^(1/e)]=[0.0659・・・,1.4446・・・]の間にあるとき,y=x^x^x^x^x・・・(xのx乗のx乗のx乗の・・・)はある極限に近づく」に戻ろう.

 阪本ひろむ氏より,数値実験の結果が届いた.それによると

[1]0<x<1のとき,ある値のまわりを振動しつつ収束しているように思われる.

[2]したがって,0<x<1(収束は遅いが)収束するのではなかろうか?

[3]関数f(x)がx=0の近くまで特異点がないのはなぜだろう.e^(-e)という値の特別な意味がわからない.

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【雑感】

 a=e,b=1/eとおくと,オイラー関数y=x^x^x^x^x・・・(xのx乗のx乗のx乗の・・・)の定義域は[e^(-e),e^(1/e)]=[(1/e)^e,e^(1/e)]=[b^a,a^b]で表される.

 特別な意味をもっている可能性がある.ところで,(その4)において,

  yn’/yn=−1/(xlogx)

log|logx|は1/(xlogx)の原始関数であるから

  logyn=−log|logx|

がでてきたが,何か関係はないのだろうか?

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