■n次元の立方体と直角三角錐(その50)

 n次元超立方体を基本単体の最長辺の中点を通る超平面:x1+x2+・・・+xn=n/2で切断する.nが偶数のとき,それは超立方体のn/2次元面の中心を通るのだが,そのとき,超立方体を切断した形はどのようなものになるのだろうか?

===================================

【1】正方形の辺の中点を通る場合

 {4}(1,0)の形状ベクトルから縮退(contraction)情報を求めると→(0,1)

 また,原正多胞体である正方形{4}のfベクトルは

  f=(4,4)

であるから,正方形が得られることがわかる.これは2次元平行多面体のひとつである.

===================================

【2】4次元立方体の面の中心を通る場合

 {3,3,4}(0,1,0,0)の形状ベクトルから縮退(contraction)情報を求めると→(1,0,0,1)

 また,原正多胞体である正16胞体{3,3,4}のfベクトル

  f=(8,24,32,16)

から胞数を求めることができて,8+16=24胞体が得られることになる.これは正24胞体であって,4次元平行多面体のひとつでもある.

===================================

【3】6次元立方体の3次元胞の中心を通る場合

 {3,3,3,3,4}(0,0,1,0,0,0)の形状ベクトルから縮退(contraction)情報を求めると→(1,0,0,0,0,1)

 また,原正多胞体である正32房体{3,3,3,3,4}のfベクトル

  f=(12,60,160,240,192,64)

から胞数を求めることができて,12+64=76胞体が得られることになる.

 6次元の原始的平行多面体は126胞体であるから,これは6次元平行多面体のひとつであると思われる.6次元立方体の基本単体の半切体は3次元面の中心を通るから,12房体以外に76房体も作ることができる.

===================================

【4】n次元立方体のn/2次元胞の中心を通る場合(n=2k)

 正2^n胞体の頂点数は2nであるから,2^n+2n=2(2^n-1+1)胞体になる.一方,n次元の原始的平行多面体は2(2^n−1)胞体であるから,これはn次元平行多面体のひとつであると思われる.

 ちなみに,3次元の正4面体と正8面体,4次元の正16胞体と正24胞体の場合のような半正多胞体の重複が5次元以上ではないと考えられる理由は,

  正(n+1)胞体の胞数+頂点数=2(n+1)

が正2^n胞体の胞数2^n,頂点数は2nと一致しないからである.

===================================