■n次元の立方体と直角三角錐(その45)

 3次元の正多面体について,断平面の通る位置によっての推移を調べてみると,

正四面体

[1]辺心に達するまで:切頂四面体

[2]辺心      :正八面体

[3]辺心から面心の間:切頂四面体の形

[4]面心      :正四面体

立方体

[1]辺心に達するまで:切頂六面体

[2]辺心      :立方八面体

[3]辺心から面心の間:切頂八面体の形

[4]面心      :正八面体

正八面体

[1]辺心に達するまで:切頂八面体

[2]辺心      :立方八面体

[3]辺心から面心の間:切頂六面体

[4]面心      :正六面体

正十二面体

[1]辺心に達するまで:切頂十二面体

[2]辺心      :12・20面体

[3]辺心から面心の間:切頂二十面体の形

[4]面心      :正二十面体

正二十面体

[1]辺心に達するまで:切頂二十面体

[2]辺心      :12・20面体

[3]辺心から面心の間:切頂十二面体

[4]面心      :正十二面体

 4次元の場合もこのように追ってゆけば概略の形が見当つくが,中間の形は大変に複雑なものになる.たとえば,4次元の超立方体の場合,面の中心を通るような切断では全体として正24胞体ができる.その中間では正16胞体や正24胞体を切断(必ずしも切頂でなく,場合によっては胞に平行に切った形など)した形が現れるようである.いずれにせよ,しかし,基本単体の切半体からその形を構成するにはかなりの洞察力がいるようだ.

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【1】4次元立方体の切頂

 4次元立方体(正8胞体)の3次元面8個の中心をとると,その双対である正16胞体を作ることができる.一方,2次元面24個の中心またはその双対として正16胞体の24本の中点をとると,正24胞体を作ることができる.

 3次元の正四面体の辺の中点を結ぶと正八面体になるが,正16胞体の24本の中点をとる操作で,正16胞体の各胞をなす正四面体は16個の正八面体になる.このときさらに8個の頂点の周りに8個の正八面体ができ,正24胞体になるのである.

 4次元立方体を切頂して2次元面の中心にかかったときが正24胞体,3次元面の中心にかかったときが正16胞体であるが,その中間に48胞体(正24胞体の切頂型)ができる.作り方からいえばまさに4次元の切頂八面体というべきものであるが,これでもって4次元空間を充填させるためには,4次元の立方体を混在させなければならない.

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 n次元の立方体(頂点数2^n)の全頂点からは一斉に2^n個切り落として残る図形を考えてみよう.

 その場合であっても,切り口が辺の中点,面の中心,胞の中心,・・・などを通るときにできる特別な図形に要点があるのか,それともそのように移っていく途中の推移が問題なのかによって話が違ってくる.

 前者ではたとえば4次元の超立方体については

[1]辺の中点を通る場合:立方八面体と正四面体で囲まれる図形

[2]面の中心を通る場合:正24胞体

[3]胞の中心を通る場合:正16胞体

になる.ただし,これは例外的に簡単な場合で,5次元以上の超立方体については一般的な形はわかっていないように思われる(だから研究する価値がある).

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【2】4次元立方体の縮退

  石井源久「多次元半正多胞体のソリッドモデリングに対する研究」

によれば,

[0]頂点を通る場合  :{3,3,4}(0,0,0,1)

[1]辺の中点を通る場合:{3,3,4}(0,0,1,0)

[2]面の中心を通る場合:{3,3,4}(0,1,0,0)

[3]胞の中心を通る場合:{3,3,4}(1,0,0,0)

であって,[0]は切頂しない場合(すなわち4次元立方体)である.また,

[4]48胞体{3,3,4}(1,1,1,0)

は[2]と[3]の中間にがあるのではなく,切頂・切面が必要になる.

 形状ベクトルから縮退(contraction)情報を求めると

[0](0,0,0,1)→(1,0,0,0)

[1](0,0,1,0)→(1,0,0,1)

[2](0,1,0,0)→(1,0,0,1)

[3](1,0,0,0)→(0,0,0,1)

[4](1,1,1,0)→(1,1,0,0)→(1,1,0,1)

 また,原正多胞体である正16胞体{3,3,4}のfベクトル

  f=(8,24,32,16)

から胞数を求めることができて,それぞれ

[0]8

[1]8+16=24

[2]8+16=24

[3]16

[4]8+24+16=48

胞体が得られることになる.

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