■カンタベリー・パズルの木工製作(その23)

 (その21)では切頂八面体と菱形十二面体の間の等積変形を考えたが,概三角錐8個と概四角錐6個を屋根型12個に変形する問題と同値であった.

 三角錐,四角錐の側面同士の二面角は120°であり,三角錐の側面・底面間の二面角は70.5°/2,四角錐の側面・底面間の二面角は45°である.また,三角錐の稜線同士の二辺角は109.5°,四角錐の稜線同士の二辺角はその補角となる70.5°である.

 一方,屋根型の二面角は109.5°,側面・底面間の二面角は70.5°/2と45°であるから,三角錐の側面に垂直に切れば,屋根型の109.5°の二面角を作ることができそうである.

 中川宏さんが発泡スチロールを使ってこのことを検討してくれたのだが,切り抜いた残りの楔状のものを屋根型にする見通しはたたないとのこと.

  切頂8面体←(切頂)−立方体−(切稜)→菱形12面体

という異なる道を経て作られた両者ですから,それぞれ一度もとの立方体に戻してやる必要があると考えるのが理にかなっていると思うとの感想であった.

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【雑感】リバーシブル分解合同の不可能性?

 相貫体の重ならない部分だけを入れ替えるのは難しい感じであるが,

  [参]Frederickson GN: Dissections: Plane and Fancy, Cambridge University Press, 1997

には,重ならない部分だけを入れ替える変形パターンはひとつもない.「リバーシブル分解合同」の難しさを示す結果となった.

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