■数楽と音学における3:4:5定理

 円周を12等分する点が与えられているとき,3点を結んでできる直角三角形は3:4:5のものだけである(総数は60個).

(証)無限に多く存在するピタゴラス数(a^2+b^2=c^2)はすべて

  a=k(x^2−y^2),b=2kxy,c=k(x^2+y^2)

で生成される(1≦y<x).

  x^2−y^2+2xy+x^2+y^2=2x(x+y)≦12

  x(x+y)≦6よりx=2,y=1 → x^2+y^2=5

===================================

【1】音学における3:4:5定理

 三平方の定理をみつけたのはピタゴラスですが,音階(ドレミファソラシド)を初めて作ったのもピタゴラスです.(現在使われている音階はピタゴラスの音階を改良した12平均律音階です.半音上がるごとに振動数が2^1/12倍になります.)

 ところで,円周を12等分する点に12音階ドド#レミbミファファ#ソソ#ラシbシを時計回りに配置します.このとき,たとえばドミソはミはドから4つ目の音,ソはミから3つ目の音,またソから時計回りに数えるとドは5つ目の音になっています.

 和音ドミソは4−3−5の関係にあるわけです.和音は調和した美しい響きになりますが,ドミソに限らずファラド,ソシレなども4−3−5の関係にあります.反時計回りも含め,円周を3:4:5または4:3:5に分割する直角三角形の総数は60個あります.ピタゴラスの定理が和音にも関係してくるのはとても不思議な気がします.

===================================

【2】数楽における3:4:5定理

 平行四辺形の頂点A,B,C,Dをそれぞれ辺BC,CD,DA,ABの中点と結んで,中央に小さい平行四辺形を作る.この小さい平行四辺形の面積は,もとの平行四辺形の面積の1/5に等しい.次に,平行四辺形の頂点A,B,C,Dをそれぞれ辺CD,DA,AB,BCの中点と結んでも中央に小さい平行四辺形が得られる.この小さい平行四辺形が重なった部分は点対称な8角形で,その面積はもとの平行四辺形の面積の1/6に等しい.

 このとき,重なっている小さい平行四辺形は互いの辺を3等分するのではなく,辺を分割する比は4:5:3になっている.

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 平行四辺形の頂点と2等分点を使ったダイヤグラムでは,平行四辺形の重なりにおいて,4:5:3の比があらわれた.では,3等分点を使ったダイヤグラムではどうだろうか?

 求めるのは,EO:ON:NBであるが,4:5:3になっていることが証明される.平行四辺形の辺を3等分すると「3:4:5定理」が得られるのであるが,こんなところにも直角三角形に関係する3:4:5があるのかと驚かされた.辺分割の仕方によってはたとえば「7:5:3定理」であったり「α:β:γ定理」であったり,自分なりの定理が見つかるのではないかと思う.

===================================