■高次合成数24

 連続するk個の自然数の積

  n(n−1)・・・(n−k+1)

がk!で割り切れることは

  n(n−1)・・・(n−k+1)/k!

が整数であることがいえればよいのであるが,

  n(n−1)・・・(n−k+1)/k!=nCk  (2項係数)

すなわち,組み合わせの総数=整数であるから明らかであろう.

 連続する4個の自然数の積

  n(n−1)(n−2)(n−3)

は4!=24で割り切れるのである.

  n(n−1)(n−2)(n−3)/24=nC4

 ところで,インド生まれの数学者ラマヌジャンは,多くの公式や定理を発見し,神秘的な東洋の天才数学者とよばれていて,1日1つの割合で新しい公式または定理を発見したといわれています.ラマヌジャンは,素数と同じくらい風変わりな数として高次合成数の性質について探求しています.合成数とは素数でない数のことで,高次合成数とは24のように1,2,3,4,6,8,12,24と多くの約数をもつ数のことです.

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[1]円周上に等間隔に配置されたn点から,2点を選ぶ組み合わせ数:nC2=n(n−1)/2は正n角形の辺と対角線の総数となる.3点を選ぶ組み合わせ数:nC3=n(n−1)(n−2)/6は三角形の総数となる.それでは,nが奇数のとき,n点から4点を選ぶ組み合わせ数:nC4=n(n−1)(n−2)(n−3)/24は?

 正n角形の対角線の交点数(nが奇数のとき,3つの弦が1点で交わることはない)

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

[2]nC4=n(n−1)(n−2)(n−3)/24>2011となる最小のnを求めよ.

 n=17が答えであるが,やみくもにnを見積もるのではなく,たとえば,

  n^4あるいは(n−1.5)^4>n(n−1)(n−2)(n−3)

  (n−1.5)^4>24・2011≒5・10^4

  (n−1.5)^2>√5・10^2

  (n−1.5)>√√5・10,  n>16.5

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

[3]n(n−1)(n−2)(n−3)は平方数になり得ないことを証明せよ.

  n(n−1)(n−2)(n−3)

 =n(n−3)(n−1)(n−2)=(n^2−3n)(n^2−3n+2)

 =(n^2−3n+1−1)(n^2−3n+1+1)

 =(n^2−3n+1)^2−1

すなわち,平方数より1小さいことが示されたことになる.

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 ところで,x^4+4を実数係数をもつ多項式に因数分解する問題は,実数という条件がなければ

  x^4+4=(x^2+2i)(x^2−2i)

となるが,完全平方にすると

  x^4+4=x^4+4x^2+4−4x^2=(x^2+2x+2)(x^2−2x+2)

となる.

 次に述べることも

  一松信「数学とコンピュータ」共立出版

を読んで知ったことであるが,是非ここで紹介(受け売り)しておきたい.

 中学校の課題研究の際,Mathematicaに「x^4+1を因数分解せよ」と入力しても「因数分解できません」と返ってきた.x^4+2,x^4+3も同様である.ところが,x^4+4に対しては

  x^4+4=(x^2+2x+2)(x^2−2x+2)

という結果が返ってきて驚かされた.さらに,x^4+5,x^4+9,x^4+16,x^4+25,・・・と試みても「因数分解できません」という結果であったが,根気強く続けて,x^4+64では

  x^4+64=(x^2+4x+8)(x^2−4x+8)

とうまくいった.

 よくよく理由を考えてみると,一般式

  (x^2+c)^2−(bx)^2=x^4+(2c−b^2)x^2+c^2

 =(x^2+bx+c)(x^2−bx+c)

において,2c=b^2の特別な場合になっていること.また,この変形はあまりに技巧的で高校数学のカリキュラムからも消えているのだが,それを数式処理システムを使って発見的に得ることができたことなど,数式処理システムの効用についてのエピソードであるが,数式処理システムが数学研究のみならず,数学教育にも有効と考えられる所以である.

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