■陶淵明の偽作(歸田園居其六)

 陶淵明 田園の居に帰る6の記事について,訓読は私(阪本ひろむ)の独断であり,専門家に合格点はもらえないだろう.私が気になったのは,

但願桑麻成 但願わくは 桑麻(そうま)成り

蠶月得紡績 蚕月(さんげつ) 紡績を得るを

の二句である.

 陶淵明の作品に,桑と麻は頻出するが,養蚕に関する記述はほかに見られない・・・と,書いてしまったが,誤りであった.

 「擬古」その九に,

「春蚕 既に食無く,寒衣 誰にか待たんと欲する」

という二句が有るのに気がついた.全集をくまなく読んでコメントしたつもりだったが,我が身の不明である.(ただ,この二句は,かなり比喩的表現ともうけとめられるのだが・・・)

 ところで,蚕月(さんげつ)とは「旧暦三月」と角川の「字源」にのっていたのだが,蚕が繭になるのはいつ頃だっただろう?

===================================