■係数gkの整除性(その2)

 項比は

  gk+1/gk=((k+1)^2)!/(k^2)!・(k+1)^2・・・(2k)^2・(2k+1)

  ((k+1)^2)!/(k^2)!=(k^2+1)(k^2+2)・・・(k^2+2k+1)

 したがって,連続する2k+1個の自然数の積

  (k^2+1)(k^2+2)・・・(k^2+2k+1)

には(k+1)の倍数が少なくとも2個,・・・,(2k)の倍数が少なくとも2個,(2k+1)の倍数が少なくとも1個あるかという問題になる.

===================================

【1】グノモン分解による直接計算

 (k+1)!をグノモン分解するほうがわかりやすい.すなわち,

  (k+1)^2=1+3+・・・+(2k−1)+(2k+1)

として,k+1番目のグノモンが,

  (k^2+1)(k^2+2)・・・(k^2+2k+1)

というわけである.

 このグノモンにはkで割ると1余る数(nk+1),kで割ると2余る数(nk+2),・・・が順に並ぶが,(k+1)の倍数,(k+2)の倍数,・・・が順に並ぶわけではない.そこで,次のように考えることにする.

 n(k+1)≦k^2+1となる最大の数nは,n=k−1であるから,連続する2k+3個の自然数よりなる区間[k^2−1,k^2+2k+1]には,(k+1)の倍数が少なくとも2個あることがわかる.(k+1)の倍数はk+1個ごとに1個存在するからである.区間[k^2−1,k^2]には存在しないから,区間[k^2+1,k^2+2k+1]には,(k+1)の倍数が少なくとも2個あることになる.

 n(k+2)≦k^2+1となる最大の数nは,n=k−2であるから,連続する2k+5個の自然数よりなる区間[k^2−4,k^2+2k+1]には,(k+2)の倍数が少なくとも2個あることがわかる.もっと狭めて区間[k^2+1,k^2+2k+1]には(k+2)の倍数が少なくとも2個あることになる.

 以下同様であるが,(2k+1)の倍数は2k+1個ごとに1個存在するから,連続する2k+1個の自然数よりなる区間[k^2+1,k^2+2k+1]には少なくとも1個存在する.

 これで

  (k^2+1)(k^2+2)・・・(k^2+2k+1)

には(k+1)の倍数が少なくとも2個,・・・,(2k)の倍数が少なくとも2個,(2k+1)の倍数が少なくとも1個あることが証明できたことになる.

===================================

【2】雑感

 グノモン分解による直接計算は,家計簿つけのシーンに似ている.まず行ごとの合計を求めてそれを総計する.次に列ごとの合計を求めてそれを総計する.そして計算が正しければその2つの計算結果は一致する.2通りに計算することをこのように喩えてみたが,かえってわかりにくくなったかもしれない.

===================================