■ゼータの香りの漂う式 (その2)

 1/(1^2+4) + 1/(2^2+4) + 1/(3^2+4) + 1/(4^2+4) + ・・ =- 1/8 + (π/4)・(e^(4π)+1)/(e^(4π)-1)

 前回、この“ゼータの香りの漂う式”を導いたが、今回はより一般的な次の三式を導いた。(aは任意の実数)

 

 1/(1^2+a^2) + 1/(2^2+ a^2) + 1/(3^2+ a^2) + 1/(4^2+ a^2) + ・・ =- 1/(2a^2) + (π/(2a))・(e^(2aπ)+1)/( e^(2aπ)-1)   ------P1

 1/(1^2+a^2) + 1/(3^2+ a^2) + 1/(5^2+ a^2) + 1/(7^2+ a^2) + ・・ =(π/(4a))・(e^(aπ)-1)/( e^(aπ)+1)             ------P2

 1/(2^2+a^2) + 1/(4^2+ a^2) + 1/(6^2+ a^2) + 1/(8^2+ a^2) + ・・ =- 1/(2a^2) + (π/(4a))・(e^(aπ)+1)/( e^(aπ)-1)    ------P3

 P1式でa=2とした場合が冒頭の式になるのはすぐにわかるであろう。今回はこれら三式の導出過程を示したい。方法の概要は、フーリエ級数

 (π-x)/2=sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・    ( 0 < x < 2π)

を出発点としてこの両辺に∫(0〜x) e^(ax) を作用させ得られた式でx=2πを代入するとP1式になり、x=πを代入するとP2式とP3式が導出される、ということになる。前回は∫(0〜x) e^(-2x)を用いて冒頭の式を得たが、じつは∫(0〜x) e^(-2x)でも∫(0〜x) e^(2x)でもどちらでも全く同じ式が得られる。つまり∫(0〜x) e^(-ax)でも∫(0〜x) e^(ax)でも同じなのである。そこで今後は簡明な∫(0〜x) e^(ax)を使っていくことにする。早速、P1〜P3式の導出過程を示そう。まずP1式から。

 

[P1式の導出]

 フーリエ級数

 (π-x)/2=sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・         ----@

                               ( 0 < x < 2π)

を出発点とする。@の左右両辺に作用素∫(0〜x) e^(ax) を作用させて(後ろにdxは付く)、求めていく。

 まず@の左辺に∫(0〜x) e^(ax)を作用させる。

∫(0〜x) e^(ax)・(π-x)/2 dx=((x-π)/(2a))・e^(ax) - π/(2a) + (e^(ax)-1)/(2a^2)   ―---A

 次に@の右辺に着目する。まずsin(nx)/n に作用素を適用すると(部分積分を2回行って)

∫(0〜x) e^(ax)・(sin(nx)/n) dx= a・sin(nx)・e^(ax)/(n(n^2+a^2)) - con(nx)・e^(ax)/(n^2+a^2) + 1/(n^2+a^2)      ----B

となる。@の右辺のすべての各項に項別積分を適用して次を得る。

∫(0〜x) e^(ax)・(n=1〜∞) (sin(nx)/n) dx =(n=1〜∞){1/(n^2+a^2) - cos(nx)・e^(ax)/(n^2+a^2) - a・sin(nx)・e^(ax)/(n(n^2+a^2))}   ----C

@の両辺に∫(0〜x) e^(ax)を作用させた結果がAとCであるからA=Cとなって、

((x-π)/(2a))・e^(ax) - π/(2a) + (e^(ax)-1)/(2a^2) =(n=1〜∞){1/(n^2+a^2) - cos(nx)・e^(ax)/(n^2+a^2) - a・sin(nx)・e^(ax)/(n(n^2+a^2))}  ----D

 ここでDのxに2πを代入して整理すると次のようになる。(これは∫(0〜x) e^(ax)の積分範囲(0〜x)を(0〜2π)として計算したことと同じである。もちろんはじめから直接的に∫(0〜2π) e^(ax) と計算してもよい。)

 

 1/(1^2+a^2) + 1/(2^2+a^2) + 1/(3^2+a^2) + 1/(4^2+a^2) +・・=- 1/(2a^2) + (π/(2a))・(e^(2aπ)+1)/(e^(2aπ)-1)

 P1式が得られた。

[終わり]

 

 次にP2式、P3式を導く。

[P2式、P3式の導出]

 途中まではP1式の過程と同じである。Dまでは同じであるから、まずDを記す。

((x-π)/(2a))・e^(ax) - π/(2a) + (e^(ax)-1)/(2a^2)) =(n=1〜∞){1/(n^2+a^2) - cos(nx)・e^(ax)/(n^2+a^2) - a・sin(nx)・e^(ax)/(n(n^2+a^2))}  ----D

 このxに2πを代入するとP1式が得られたわけだが、ここではx=πを代入する。すると次のようになる。

(e^(aπ)+1){1/(1^2+a^2) + 1/(3^2+a^2) + 1/(5^2+a^2) + ・・} - (e^(aπ)-1){1/(2^2+a^2) + 1/(4^2+a^2) + 1/(6^2+a^2) + ・・}= -π/(2a) + (e^(aπ)-1)/(2a^2)

 ここで、A={1/(1^2+a^2) + 1/(3^2+a^2) + 1/(5^2+a^2) + ・・}, B=1/(2^2+a^2) + 1/(4^2+a^2) + 1/(6^2+a^2) + ・・

とおくと

 (e^(aπ)+1)A - (e^(aπ)-1)B= -π/(2a) + (e^(aπ)-1)/(2a^2)       ----E

ここで一つ上で導いたP1(次式)も利用する。

 1/(1^2+a^2) + 1/(2^2+ a^2) + 1/(3^2+ a^2) + 1/(4^2+ a^2) + ・・ =- 1/(2a^2) + (π/(2a))・(e^(2aπ)+1)/( e^(2aπ)-1)

この左辺をよく見ると、A+Bとなっていることがわかるから、

  A + B = - 1/(2a^2) + (π/(2a))・(e^(2aπ)+1)/( e^(2aπ)-1)   ----F

E、FはAとBに関する連立方程式となっているから、これを解いて次を得る。

 A = (π/(4a))・(e^(aπ)-1)/( e^(aπ)+1) , B = - 1/(2a^2) + (π/(4a))・(e^(aπ)+1)/( e^(aπ)-1) 

すなわち、次のようになる。

 1/(1^2+a^2) + 1/(3^2+ a^2) + 1/(5^2+ a^2) + 1/(7^2+ a^2) + ・・ =(π/(4a))・(e^(aπ)-1)/( e^(aπ)+1) 

 1/(2^2+a^2) + 1/(4^2+ a^2) + 1/(6^2+ a^2) + 1/(8^2+ a^2) + ・・ =- 1/(2a^2) + (π/(4a))・(e^(aπ)+1)/( e^(aπ)-1)

 冒頭のP2とP3が求まった。

[終わり]

 

 1/(1^2+a^2) + 1/(2^2+ a^2) + 1/(3^2+ a^2) + 1/(4^2+ a^2) + ・・ =- 1/(2a^2) + (π/(2a))・(e^(2aπ)+1)/( e^(2aπ)-1)   ------P1

 1/(1^2+a^2) + 1/(3^2+ a^2) + 1/(5^2+ a^2) + 1/(7^2+ a^2) + ・・ =(π/(4a))・(e^(aπ)-1)/( e^(aπ)+1)             ------P2

 1/(2^2+a^2) + 1/(4^2+ a^2) + 1/(6^2+ a^2) + 1/(8^2+ a^2) + ・・ =- 1/(2a^2) + (π/(4a))・(e^(aπ)+1)/( e^(aπ)-1)    ------P3

 

 今回はこの三式を導いたわけだが、全て (π-x)/2=sinx/1 + sin2x/2 + sin3x/3 + sin4x/4 + ・・ という単純なフーリエ級数から得られた点にまず注目いただきたい。それに∫(0〜x) e^(ax) を作用させ得られたD式のxに2πを代入するとP1が、πを代入するとP2とP3が得られたのであった。では、xにπ/2やπ/3を代入すると、どのような式が導出されるのだろうか? それは次回調べることにする。 (杉岡幹生)

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