■デーン不変量と二面角の幾何学(その36)

 (その35)では,8次元の充填形

[1]単一種による空間充填の例:8次元立方体

[2]複数の種類による空間充填例:8次元正四面体+8次元正八面体

で,正軸体と正単体から超立方体を構成するのは無理ということがわかった.

 もし,8次元正多胞体の元素数が2であるならば,

[1]8次元立方体と8次元正四面体の両者を共通の片から構成できる

[2]8次元立方体と8次元正八面体の両者を共通の片から構成できる

[3]8次元正四面体と8次元正八面体の両者を共通の片から構成できる

のいずれかであるが,[1][2]は3次元のデーン不変量の結果と類似の関係が成立するから無理.

 8次元正多胞体の元素数が2であることをいうために[3]についてもいろいろ暗中模索してみたが,実りはなかった.[3]も二胞角が

  arcocs(1/4)+2×arcocs(−3/4)=2π

ではあるが,互いに有理比でない角である以上,多分無理であろう.最初から無理な類推,無理な仮説であったのかもしれない.

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 ところで,(その35)で述べたE8の亜正多面体の体積は正しいが,あの図形が空間充填形になるように思ったのは錯覚であった.単独で8次元空間の充填形になるのは格子のボロノイ領域で,それは17280個の正単体の1/9(ひとつの頂点が最も近い部分)と2160個の正軸体の1/16(ひとつの頂点が最も近い部分)から成り立つ.

 その体積は

  正単体の体積3/2^48!×1/9×17280=1/112

  正軸体の体積2^4/8!×1/16×2160=6/112

の合計(1+6)/112=1/16で,案外簡単な数になる.

 この図形は8次元の平行面体(平行移動で面を貼り合わせて空間充填形になる)のひとつである.これ以上分解して,ひとつの素片だけから組み立てようというのは無理であろう.

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