■三角形のn等分(その3)

[1]メネラウスの定理

 直線が△ABCの辺またはその延長と,それぞれP,Q,Rで交わるとき

  AP/PB・BQ/QC・CR/RA=1

が成り立つ.逆に,

  AP/PB・BQ/QC・CR/RA=1

が成り立てば,P,Q,Rは1直線上にある.

[2]チェバの定理

 △ABCの辺またはその延長上にない点Oをとる.頂点A,B,Cと点Oを結ぶ直線が△ABCの辺またはその延長とそれぞれP,Q,Rで交わるとき

  AR/RB・BP/PC・CQ/QA=1

が成り立つ.逆に,

  AR/RB・BP/PC・CQ/QA=1

が成り立てば,AP,BQ,CRは1点で交わる.

 2つの定理は一見似たような定理ですが,メネラウスの定理は「3点が1直線上にある」ことを,チェバの定理は「3直線が1点で交わる」ことを示しています.そして,・・・

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【1】チェバの定理とメネラウスの定理

『与えられた三角形の各辺をλ:1,μ:1,ν:1に分ける位置に点をとる場合,3直線が1点で交わるための必要十分条件はλμν=1(チェバの定理),3点が同一直線上にあるための必要十分条件はλμν=−1(メネラウスの定理)である.』

 なお,メネラウスとチェバの生存時期も1500年以上違い,その間何もなされませんでした.不思議さを感じてしまいます.

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【2】雑感

  [参]コクセター「幾何学入門」銀林浩訳,明治図書

のトピックの範囲の広さはピカイチである.

 多角形,円,球,正多胞体,複素数,擬球面,5つのプラトン立体,統計的蜂の巣,2つの鏡映の積,ユークリッド平面における等長変換,2次元結晶学の空間群を図示するドミノ,等球の最密充填,黄金分割と葉序,テンソル表記と逆格子,射影幾何学とデザルクの定理,測地線とオイラー・ポアンカレ標数,曲面の位相と四色問題,絶対幾何学と多面体の万華鏡,総局幾何学と三角形の有限性,曲線の微分幾何学と円形螺旋,4次元図形の最も単純な構成,順序の幾何学とシルベスターの共線点の問題などをリストアップすることができる.

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