■菱形多面体(その18)

【1】三角形分割

 任意の三角形の3辺の中点を結ぶと,もとの三角形は合同な4つの三角形に分割される.新たに生じた三角形はもとの三角形と相似(相似比1:2)である.このように任意の三角形は自分自身と相似な4個の三角形に分けることができる.それでは・・・

(Q)3つの合同三角形に分割できる三角形は何か?

(A)辺の長さが1:√3:2の直角三角形(30°,60°,90°の三角形,三角定規のひとつ)は同形4つだけでなく,3つの同形にも分割できる特殊な三角形である.

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【2】黄金三角形

 辺の長さが黄金比の二等辺三角形は「黄金三角形」と呼ばれることもあるようだ.この黄金二等辺三角形には底辺が側辺の1/τ倍の短いもの(頂角がπ/5)と底辺がτ倍の長いもの(底角がπ/5)の2種類ある.正五角形も黄金二等辺三角形に分割できるので,2種類の黄金二等辺三角形の非周期的配列によって平面を隙間なく埋め尽くすことができることになる.

 また,黄金二等辺三角形の底辺を合わせると細い菱形と太った菱形ができるが,この菱形は辺の長さと対角線の長さが黄金比の関係になっていて,ペンローズパターンの基本の菱形として重要なものである.ペンローズの非周期的パターンは2種類の菱形(108°+72°,144°+36°)の組み合わせである.

 それに対して,2つの対角線の長さの比が黄金比に基づく菱形(黄金菱形)も大切な菱形である.黄金菱形を2つに割ってできる三角形の側辺の長さは,底辺の(1+τ^2)^1/2=0.95倍で,正三角形からわずかにつぶれた二等辺三角形となっている.

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【3】雑感

 今回のコラムは(その17)のパロディーになっていることがおわかりいただけたであろうか.ところで,直角三角形1:√3:2は直角三角形1:2:√5のように,並進対称性をもたない非周期的なタイル貼りが可能なのだろうか?

 30°,30°,120°の角をもつ三角形は,正三角形格子(3,6)の各面を3個の合同な三角形に分解することによってできるモザイク模様である.「麻の葉」文様と呼ばれるくり返し文様であり,日本では古くから装飾工芸品や寄木細工のデザインなどとして用いられているから,ご存じの方も多いと思う.直角三角形1:√3:2すなわち30°,60°,90°のモザイクは,30°,30°,120°の三角形からなるモザイクをさらに2個の直角三角形に分解してできる模様であり,周期的なタイル貼りそのものである.

 なお,黄金比τ=(1+√5)/2,白銀比1:√2に対して,1:√3は白金比と呼ばれることがあるそうであるが,高木隆司先生はまったく別物を白金比という名で呼ぶことを提案している.

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