■四元数体と3次元の回転(その2)

 [参]若山正人編「可視化の技術と現代幾何学」,岩波書店

の助けを借りて,(その1)を補完してみたい.

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 各軸周りの回転角θをオイラー角と呼ぶ.回転行列は

     [1,   0,   0 ]

  R1 =[0, cosθ,sinθ]

     [0,−sinθ,cosθ]

     [cosθ,0,−sinθ]

  R2 =[  0, 1,   0 ]

     [sinθ,0, cosθ]

     [ cosθ,sinθ,0]

  R3 =[−sinθ,cosθ,0]

     [   0,   0, 1]

として,各軸周りの回転の合成A=R1R2R3のようなものを考えた場合,軸周りの回転の順番を変えると結果が違ってしまう.

 また,A=R1(θ1)・R2(θ2)・R3(θ3)において,θ2=π/2とすると

    [  0      ,   0      ,−1]

  A=[sin(θ1−θ3), cos(θ1−θ3), 0]

    [cos(θ1−θ3),−sin(θ1−θ3), 0]

となり,もはやx軸周りの回転を表すことができなくなる.これはy軸を90°傾けると,x軸とz軸が同軸になってしまうからである.

 単位四元数を用いた回転ではこれらを避けることができるのだが,実用上はオイラー角方式による回転の取り扱いも捨て去られたわけではないとのことである.

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